
村上春樹の本は何から読むのがおすすめ?
わたしは10年来の村上春樹ファンで、たくさん読んできました。


とはいえ最初からハマったわけではなく、1冊目は挫折…
そんな挫折経験もまじえ、ファン目線で「これから村上春樹の本を読みたい」という人におすすめの9冊を紹介します。
挫折しにくい本を選んだので、ぜひ参考にしてみてください。


自他ともに認める超内向型が「静かで癒やされるおうち時間の過ごし方」を発信。
コーヒーと読書が大好きです。
【読む前に知っておきたい】村上春樹の本の特徴


わたしが思う村上春樹の小説の魅力は、
- おしゃれなバーのような雰囲気
- 食べ物や飲み物がとにかく美味しそう
- 孤独にそっと寄り添うセリフ
- 落ち着いたポジティブさがある
- 現実と幻想が混じったふしぎな世界
です。
言葉選びやセリフが洒落ていて、雰囲気の良いバーやカフェを連想させます。
食べ物がでてくる小説はたくさんありますが、村上春樹の描く「食」は格段においしそうです。



ブラックコーヒーとの相性も非常にいいです。(完全に主観)
また、悩んでいる人に対してあからさまに励ますのではなく、そっと寄り添って勇気づける灯火みたいな温かさも感じられます。
一方、人によって好き嫌いがわかれるかも…と感じるところは、
- ストーリーに大きな展開が少ない
- 結末があいまいなことも多い
- 性的な描写が多い
です。
今回紹介する小説はメリハリのあるものを選びましたが、全体的に抑揚の少ない物語が多いです。
意味のある展開ばかりではないので「結局、何が言いたいの?」と考えないほうが、物語を楽しめます。
また、大体の小説に性的な描写がでてくるため、苦手な人には向きません。
村上春樹作品を楽しむためのポイントは、物語全体の雰囲気を味わうこと。



コーヒーを飲みながら、ふしぎな世界観にどっぷり浸かってみましょう。
初心者におすすめの村上春樹の本9選


これから村上春樹の本を楽しみたい人におすすめの9冊を紹介します。
ジャンル別にわけたので、興味があるところからぜひ読んでみてください。
短編小説2選
さまざまなストーリーを一度に楽しめる短編小説。
好みじゃない話があっても短いので挫折しにくく、初心者にもおすすめです。
TVピープル


- ふしぎな話が好き
- 適度に刺激がほしい
日常に忍び込む、ちょっとした違和感
テレビを抱えた人間らしきものが部屋に侵入してくる『TVピープル』や、17日間まったく眠れない女性を描く『眠り』など、6つの短編を収録。
現実に幻想がじわじわと入り込むような、ふしぎな話が多いです。



話にメリハリがあって難しい表現などもないので、初心者でも気軽に読めます。
ただ、性的な話が苦手な人やトラウマがある人は『加納クレタ』は飛ばしたほうがいいかもです。
カンガルー日和


- 村上春樹がどんな物語を書くのか知りたい
- サラッと読める短編集から始めたい
朝日のような明るく優しい短編集
『4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』『図書館奇譚』など、17つの物語を収録。
カンガルー日和は、比較的明るい雰囲気の話が多いです。
イラスト付きで一息つきながら読めますし、17編あるので退屈もしにくいです。



「寝る前に1話ずつ」みたいな楽しみ方もできます。
長編小説3選
村上春樹の長編小説は少し体力がいりますが、深く魅力を知ることができておすすめです。
わたしが初心者の頃に読んで「おもしろい」と感じた3作を紹介します。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド


- わくわく感を味わいたい
- 現実逃避したい
2つの世界が同時進行する冒険小説
夢読みとして生きる僕の脱出劇<世界の終り>と、意識に回路を埋め込まれた私の世界<ハードボイルド・ワンダーランド>の2つのふしぎな世界を描く物語。



わたしは村上春樹の長編小説で一番おもしろいと感じました。
冒険要素があり、純文学に抵抗がある人も比較的読みやすいです。
幻想の世界に迷い込めるので、現実逃避したい人にもおすすめ。
ダンス・ダンス・ダンス


- 村上春樹は初めてだけど小説はよく読む
- 世界観にどっぷり浸かりたい
村上春樹の雰囲気を存分に楽しめる
いるかホテルを舞台に、30代の男性がさまざまな出会いや不可解なできごとに直面する物語です。
展開は少ないですが、村上春樹の世界観を味わうにはもってこいの小説。



わたしも初心者のときに読み、村上春樹の魅力に気づきました。
クセが少なくて読みやすく、純文学ながら重くないところもポイントです。
風の歌を聴け


- デビュー作が読みたい
- 短めの長編小説から始めたい
音楽のような文章が心地よいデビュー作
僕と鼠と彼女のたわいもない日常を描いた、村上春樹のデビュー作です。
155ページと短く、会話文が多いのでサラッと読めます。



つかみどころがなく、音楽のように流れる物語という印象です。
ストーリー展開よりも、味わい深い雰囲気が魅力の1冊。
絵本2選
活字に慣れていない人にもおすすめできる村上春樹の絵本を2冊紹介します。
ただ、パンやドーナツがたくさん出てくるので、お腹がすいているときは注意しましょう。
パン屋を襲う


- まずは短い小説から読みたい
- 食べ物がでてくる小説が好き
パンが食べたくなる1冊
お腹がすいて仕方がない若者がパン屋を襲う物語。
『パン屋襲撃』と『パン屋再襲撃』を収録しています。



全72ページと短いので、活字慣れしていない人も挫折しにくいです。
タイトルに”襲う”とありますが、不穏な話ではありません。
羊男のクリスマス


- 楽しい雰囲気の小説が好き
- 童話のような物語を読みたい
童話のようなふしぎでやさしい物語
羊男が「ドーナツの呪い」を解くため、ふしぎな冒険へ旅立つ物語。
難しい言葉がなくスラスラ読めますし、文章が少なく絵が多いので年齢問わずおすすめな1冊です。
村上春樹の中では楽しい雰囲気のストーリーで、明るい気分にさせてくれます。



ドーナツが食べたくなるので、夜読むのは避けたほうが良いかもです。
エッセイ2選
村上春樹の考え方や嗜好がわかるエッセイを2冊紹介します。
村上ラヂオ


- 小説を読む前に、村上春樹がどんな人か知りたい
- ほっこりする話を読みたい
心をやさしくほぐしてくれる1冊
村上春樹の考え方や好きなものがわかる50のエッセイ集。
コロッケ・柿ピー・ドーナツ・すき焼きなどの食べ物にまつわる話から、小説、音楽、恋の話まで盛りだくさんです。



心を落ち着かせてくれる本なので、寝る前にも向いています。
村上さんのところ


- 普段から本を読んでいる
- 何らかの悩みを抱えている
人生の教科書のような1冊
世界中から届いたメールに村上春樹が答える、Q&A形式の本。
人生相談から恋愛相談、日常のちいさな話題まで幅広い質問に村上春樹が答えていきます。
615ページあり「読み切れるかな…」と不安になるかもしれませんが、得られるものは多いです。
話題が次々に切り替わるので飽きにくく、娯楽感もあるため万人受けタイプの本だと思います。



フジモトマサルさんの挿絵も、ユーモアがあって楽しいです。
初心者にはおすすめできない村上春樹の本


以下の2冊は、村上春樹の小説が好きになってから読むのがおすすめです。



初心者の頃読んで、難易度が高いと感じました。
ノルウェイの森


有名な作品で映画化もされているノルウェイの森。
現実的な話で抑揚も少ないため、初心者には向かないかもしれません。
読み終わっても「どういうこと?」と腑に落ちない人が多いのではないかと思います。



村上春樹の小説が好きになってから読むのがおすすめです。
ねじまき鳥クロニクル


全3巻とボリュームがあるので、初心者向けではないと感じます。



実際にわたしは初心者のときに読んで、挫折しました…
また、軍隊の話が長くつづいて少し重いです。(これは好みの問題ですね…)
【まとめ】村上春樹の初心者にはわくわくして読みやすい本がおすすめ


まとめ|初心者におすすめの村上春樹の本
短編小説 | TVピープル |
---|---|
カンガルー日和 | |
長編小説 | 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド |
ダンス・ダンス・ダンス | |
風の歌を聴け | |
絵本 | パン屋を襲う |
羊男のクリスマス | |
エッセイ | 村上ラヂオ |
村上さんのところ |
抑揚が少なく「何が言いたいのかわからない」と思われがちな村上春樹の本。



しかし、一度魅力に気づけばとことん深みに入り込めます。
だからこそ、挫折しないために1冊目に何を読むかが重要です。
わくわく感があって読みやすい本を中心に選んだので、ぜひ手に取ってみてください。



おぶはドーナツが好きだから、羊男のクリスマスから始めようかな
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